Kitamura M, Nishizawa T, Yanai A, Taguchi M, Matsumoto N, Hayashi K, et al. Association between nasogastric tube feeding and discharge outcomes in patients aged 80 and older with aspiration pneumonia: A propensity score-matched retrospective cohort study. Journal of General and Family Medicine [Internet]. [cited 2024 Oct 27]
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jgf2.745
研究背景
- 誤嚥による嚥下障害が原因で、入院後48時間以内に経口摂取ができない患者に対して、経鼻胃管栄養(NGF)で栄養を補給する方法がある。
- ICU患者での有効性は示されているが、高齢者、特に重度認知症患者への有効性は不明。
方法
- 研究デザイン:2012年~2022年の期間に東京の三次医療機関に入院した80歳以上の誤嚥性肺炎患者を対象にした後ろ向きコホート研究。
- 対象患者:256名
- 除外基準
- 主要評価項目:経口摂取能力を持ったままの、元の住居への退院率(嚥下ピラミッドレベル3以上の嚥下食)
結果
- 患者背景(256名→129名→43:86名)
- 退院率:NGF群では元の住居に経口摂取可能な状態で退院する割合が低かった(9.3% vs. 40.7%、p < 0.001)。
- オッズ比:NGFの使用は、経口摂取可能な状態での退院率が低いことと関連(オッズ比: 0.15、95%信頼区間: 0.05-0.46)。
- 入院期間:NGF群で平均入院期間が長く、退院時の経口摂取可能率が低い傾向にあった。
考察
- 高齢患者、特に認知症患者へのNGFは栄養状態を改善せず、退院時の機能改善には結びつかない可能性がある。メタアナリシスでも、特に進行した認知症の高齢患者において、NGFは栄養状態を改善しないことが示されている。
- エンドオブライフケアの重要性:退院後の生活を考慮し、患者と家族に対して終末期ケアに関する話し合いが必要。
限界
- NGF適用の理由が不明確であり、家庭のサポート状況などが考慮されていない点。
- カロリー摂取量や中心静脈栄養の使用は評価されておらず、交絡因子評価のばらつきが影響する可能性がある。
結論
- 80歳以上の誤嚥性肺炎患者において、経鼻胃管栄養の使用は元の住居に経口摂取可能な状態で退院する割合を低下させる結果と関連している。